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昨年度のある中学校の理科の入試問題。
アルコール温度計の液体は灯油のようなもの、水銀温度計の液体は水銀、水銀の膨張率はアルコール温度計の液体より低い(温度に対する体積変化の率が小さい)、という説明がされた上で、以下の設問がある。 ここにあるアルコール温度計と水銀温度計は、どちらも105℃まで測ることができる温度計です。この2つを比べたとき、温度計のどこの作りが異なると考えられますか。次のア~オの中から選び、記号で答えなさい。 ア.水銀温度計の方が、ガラスが薄い。 イ.水銀温度計の方が、液だめの部分が大きい。 ウ.水銀温度計の方が、温度計そのものが太い。 エ.水銀温度計の方が、液体が上下する細管が細い。 オ.水銀温度計の方が、目盛りの間隔がせまい。 学校の予定する解答はもちろん「エ」なのだが、「イ」も誤答とするのは酷だろう。 温度による体積の変化を検知しやすくするには、変化を増幅する方法と、変化量を大きくする方法がある。 前者の方法が「エ」であり、後者の方法が「イ」である。 もちろん、「イ」には ・水銀の量が余分に必要 ・体積が大きい分、全体が同じ温度になるのにかかる時間が若干長くなる ・細管が太い分、空気中に出る部分があると気温の影響を受けやすい(気温による温度表示への影響は本件入試問題の前半部分で問われる) などのデメリットがあるが、 「エ」では ・細管が細い分、温度表示が読みにくくなる ・細管の太さの精度への要求が厳しくなる というデメリットがあると考えるのも合理的であろう。 実際の温度計で見比べても液だめの大きさはさほど違って見えないが、体積は寸法の3乗に比例し、わずかな大きさの相違が大きな体積の差につながるので、見た目では断定できまい。 というわけで、「イ」にも8~10割の部分点をあげてほしいな、と思った次第。 ついでに言えば、「ア」「ウ」は点がやれないが、「オ」は2~3割あげてもいいかな。 ********************************** 私は、子供たちに理科的観点から考えさせるタネとして、3つの定番問題を持っている。 この機会に紹介しよう。 【その1】ピストルの弾丸はなぜ飛ぶのか? ピストルの弾丸は、薬きょうという金属容器に火薬が詰められ、その開口部を弾丸がふさいでいる、という構造をしている。 引き金を引くと、弾丸が飛び出す。この弾丸を飛ばす力はどうやって発生するのかを述べよ。 ※燃焼の三要素と絡めて質問を進めていく(三要素の「酸素(酸化剤)」を「空気」と理解していると引っかかるので矯正する) ある程度化学がわかる子供なら「火薬は黒色火薬なら炭・硫黄・硝石の混合物だ」と説明してやる 【その2】氷水は(水も氷も十分にある状態でよくまぜると)ある温度になる。その温度は何度か?理由を付して述べよ。 ※これは比較的簡単だな。でも、うちの息子は融解熱と凝固熱しか挙げなかった。まず熱伝導を挙げなければ。 【その3】自動車のフロントガラス(内側)はなぜ曇るのか?その曇りを取るためにどうすればよいか? ※きわめて実際的。曇りを取るためには2つの異なるアプローチ(空気を何とかする、ガラスを何とかする)を挙げるべし---但し、ガラスは「温める」だが、空気は「温める」と「水蒸気の絶対量を減らす」の二法がある。 エアコンから出る空気が乾燥している理由や、フェーン現象まで拡張して解説すると一層面白い。 #先日、冬にからっ風の群馬でフェーン現象が起きないのはなぜか、と疑問を持ち、検索してみた。 冬、北風が吹くときは上空に強い寒気が入っており、雪を降らせて凝結熱で温まった空気を冷やしてしまうのだ、という説明を発見し、納得。 PR |
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