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【2017/09/20 11:04 】 |
株主総会における議案の修正
同志社大学の伊藤教授のブログで、総会の場において参考書類に記載した議案を会社が修正することに関する論点が取り上げられている。
(2012年6月6日エントリー「書面投票制度採用会社の株主総会における会社側からの修正動議提出の可否
http://blog.livedoor.jp/assam_uva/archives/52102619.html

伊藤教授は、「会社による修正は許されない、必要な場合は(臨場)株主からの修正動議によるべし」という通説(「修正違法説+株主からの修正動議」)に違和感を感じる、とおっしやるのである。
修正違法説は、参考書類に記載すべき事項を株主総会の場で修正することは、総会に出席していない株主の利益を害する(結局、事前の情報開示が行われなかったのと同じだから)という考え方である。
一方、伊藤教授の違和感の方向性は、以下のとおりである。

*******以下抜粋引用******

(1)合理的な理由があれば会社側からであれ議案の変更は当然に認められるべきなのではないか、修正違法説の根拠は本当に説得的なのか
(2)株主からの修正動議という便法は、修正違法説の発想とは相容れないのではないか
 
*******引用以上******

ここでは、まず、修正動議について考えよう。
議案の修正動議は、株主の本源的な権利であるが、法令の趣旨ないしは書面投票の趣旨により、通常一般的に予見できる程度の範囲の修正に限定される、とされている。
少々古いが手元にある「株主総会ガイドライン」(東京弁護士会会社法部編)から引用する(伊藤教授が参照しておられる中村直人弁護士の文章とも整合)。

*******以下抜粋引用******

・ 動議の提出は、会議体の構成員にとって構成員であることに基づく固有の権利である。
・ しかし、今日の株式会社において、総会は商法その他の法令または定款によって定められた事項に限り決議することができる(商法230ノ10)。
・ したがって、会議の目的事項からみて、「動議」とは、招集通知に記載されて提出された議題および議案に関連する事項に限定して、総会において討論・採決に付して総会の意思決定を求めてなされる提案を言う。
・ 参考書類の記載によって審理されるであろうと考える内容からまったく予見されない範囲の修正案の提出は株主の期待と予想に反するから許されないが、通常一般的に予見できる程度の範囲の修正ならば株主の権利を害さないから許される。
 
*******引用以上******

これと同様に考えれば、
・会社による議案提案は会議主催者の本源的な権利であり、その変更も同様である
・議案提案権・その変更権は、法令の趣旨ないしは書面投票の趣旨により、一定の範囲に限定される
としてもよいであろう。

そうすると、通説は、「会議の本源的な権利が書面投票の趣旨により制限される」ことは同様なのに、会議構成員の修正動議は一定範囲で許され、会社による提案変更はまったく許されない、ということであり、伊藤教授の違和感は至極もっともである。

しかし、会議主催者たる会社の提案権は広範、かつ、株主提案が総会の8週間前までしか認められないのに比し会社提案は2週間前まで可能であるなど、そもそも権利が強い。
これに加えて修正の自由を認めたのでは濫用の危険があるから、信義則上、議案変更が許される範囲は、会議構成員の修正動議に許される「通常一般的に予見できる程度の範囲」よりも厳しくあるべし、という論理はあり得る。
その論理に基づき、会議構成員への提案が書面(参考書類)によっているという法令・書面投票の趣旨を信義則の根拠として、「会社による提案変更は、提案の撤回に限定すべし」、とすれば、「修正違法説」になろう。
というわけで、「修正違法説」は、信義則を根拠に論理を若干補強して「撤回以外の修正違法説」とすれば通用すると考える。

そのような信義則上の制限が「株主からの修正動議という便法」により容易に潜説できることについては、疑問がないわけではない。
しかし、「協力株主を得られることが、会議主催者の提案権の濫用ではないことの免罪符」、と位置づければ論理矛盾とまでは言えないものと考える。

但し、私は、中間試案のパブコメにおいて、株主からの修正動議の弊害を考え、議案の修正に関して別のアプローチで提案を行っている。
「修正違法説」の修正動議への拡張、すなわち、書面投票会社における議場での議案修正の全面禁止(但し、会社による撤回は認めてもよかろう。株主による撤回動議は、議案への反対として取り扱えば足りるので、認める必要はない)を法定することである。
http://kaishahou.hariko.com/a14shuusei.html

提案理由は以下のとおりである。
1)現在修正動議が許されるとされている「通常一般的に予見できる程度」かつ「株主の権利を害さない」範囲の修正とはどのようなものか、あいまいである。(会社との馴れ合い動議以外の)修正動議が出されると、会議運営者は、ごく短時間の間に当該修正が適法か否かを判断しなければならず、総会決議の不安定要因となっている。
2)「取締役○名選任の件」という議題の範囲であれば候補者の大幅な入れ替えも許されるという定説のもと、一般株主が予見し得ないクーデターで会社が乗っ取られた例もある(春日電機)。
3)一方で、議場での議案修正を全面禁止することによる弊害は限定的である。
伊藤教授のブログ記事の発端となっている、総会直前の役員候補者死亡にしても、議案を修正せずに解決するためには、臨時総会招集や一時取締役/一時監査役選任などのコストがかかるが、それは総会直後の死亡と同じことである。
なお、議案を実質的に変更しない限りにおいて誤りを訂正したり、治癒できない瑕疵のある議案を撤回したりすることはWEB修正で可能であろう。

以上のとおり、議場での議案修正を全面禁止すれば、伊藤教授の違和感の元となった論理ギャップ、修正動議の適法性判断のリスク、クーデターのリスク、いずれも回避でき、しかも特段の弊害もない、と考えるが、どうだろうか。

【付】
上記では
・会社の議案提案は会議主催者の本源的な権利であり、その変更も同様である
・議案提案権・その変更権は、法令の趣旨ないしは書面投票の趣旨により、一定の範囲に限定される
と記載したが、「会社」を「株主」に変えて、
・株主の議案提案は会議構成員の本源的な権利である
・議案提案権・その変更権は、法令の趣旨ないしは書面投票の趣旨により、一定の範囲に限定される
とすれば、株主提案に関する記述となる。
これも、会議の準備・運営等の都合や、構成員への提案の事前周知のために、提案資格者・提案期限・提案方法等に制限を加えることは許されるし、構成員に対する制限が主催者に対するものより厳しいこともあり得る。
この観点から、法や定款による株主提案に対する規制は、会議構成員たる株主の提案権を不当に制限せず、会議の準備・運営等の都合上、または提案の構成員への事前周知のために、合理的な範囲である限り正当化できよう。
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【2012/10/28 07:45 】 | その他会社法関係 | 有り難いご意見(0)
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